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葬儀で見かける「籠盛り」とは?供花との違いや中身の意味を解説

2025年05月15日 葬儀で見かける「籠盛り」とは?供花との違いや中身の意味を解説

通夜や葬儀の場で、花とは別に果物や乾物、缶詰などをきれいに盛りつけた「籠盛り(かごもり)」を見かけたことはありませんか?
華やかさと控えめさが同居する独特のたたずまいは、どこか懐かしさを感じさせつつ、故人への祈りやご遺族への気遣いが込められた、日本らしい供養のひとつです。
今回はこの「籠盛り」について、中身や意味、供花との違いをわかりやすくご紹介します。

籠盛りとは?

籠盛りとは、果物・菓子・乾物・缶詰といった食料品を、かごや台の上に美しく盛りつけた**供物(くもつ)**のことです。
読み方は「かごもり」が一般的ですが、地域によっては「かござかり」と呼ばれることもあります。
通夜や葬儀では、祭壇の近くや受付まわりに並べられることが多く、参列者や関係者が故人の冥福を祈って贈ります。
ただの飾りではなく、「あの世でも食べ物に困らないように」「遺族の生活にも配慮して」といった気持ちが込められており、日本ならではの思いやりが形になった文化です。

籠盛りの中身とは?

籠盛りの内容は、地域や宗派によって多少の違いはあるものの、一般的には以下のようなものが選ばれます。

● 果物(フルーツ盛り)
りんご

みかん

メロン

バナナ など

華やかで見映えがよく、比較的傷みにくい果物が中心です。宗派にかかわらず使いやすく、季節のフルーツで彩りを加えることもあります。

● 乾物・缶詰
昆布、干し椎茸、煮干しなどの乾物

フルーツ缶、ツナ缶などの保存食品

保存が利くため、葬儀後にご遺族や僧侶に「おさがり」として渡すことも想定されます。

● 菓子類(和菓子・洋菓子)
煎餅、羊羹などの個包装の和菓子

クッキー、ゼリーなどの日持ちする洋菓子

法要後に分けやすいよう、個包装や保存性の高いものが選ばれる傾向があります。

籠盛りと供花の違いは?

葬儀で見かける贈り物には、「供花(きょうか)」もあります。両者の違いを簡単に整理してみましょう。

葬儀で見かける贈り物には、「供花(きょうか)」もあります。籠盛りと供花、それぞれの違いについて、わかりやすく整理してみましょう。
まず、中身の違いですが、**籠盛りには食料品(果物・菓子・乾物など)**が使われるのに対し、供花は白や淡い色を中心とした生花が用いられます。華やかさと落ち着きのある花で祭壇を飾り、場の雰囲気を整える役割を持ちます。
意味合いにも違いがあります。籠盛りは「実用品を供えることで故人の冥福を祈る」実用的な供養のかたちです。一方、供花は「美しい花で故人を慰め、会場を荘厳にする」ことを目的とした、象徴的な供養となります。
宗教的な扱いにも差があります。籠盛りは比較的柔軟で、仏式・神式を問わず受け入れられやすい一方で、供花は宗派によって色使いや花の種類、配置などに一定のルールがある場合があります。
また、葬儀後の取り扱いにも違いがあります。籠盛りは、個別に分けて持ち帰ったり、お寺やご遺族への「おさがり」として渡されたりするなど、再利用されることが多いのに対し、供花は祭壇の花とともに焼却処分されることが一般的です。
このように、**供花が「祈りの象徴」であるならば、籠盛りは「生活に寄り添う祈りの形」**とも言えるでしょう。

地域性と最近の傾向

以前は東北地方や北関東で盛んだった籠盛りですが、近年では都市部や関西地方でも見かけるようになりました。

また、コンビニや葬儀社によって「供物セット」として取り扱われるケースも増えており、形式にとらわれすぎず、誰でも気軽に選べるようになっています。

とはいえ、会場や宗派によっては籠盛りの持ち込みを断られることもあるため、事前の確認は忘れずに。

まとめ

「籠盛り」は、ただの贈り物ではなく、故人への想いと、遺されたご家族への気遣いが込められた大切な供養のかたちです。

見た目の華やかさよりも、実用性と心づかいを重視する日本ならではの文化ともいえるでしょう。

供花にするか、籠盛りにするか、それとも香典を贈るか――迷うこともあるかもしれませんが、もっとも大切なのは「心から故人を偲び、遺族を思う気持ち」。

その想いにふさわしい方法を、選んでいきたいものです。